電力省トップをも揺さぶった視察団の熱意 継続的に協力、支援の輪を広げていく方向で

2011年秋から急激に始まったミャンマーの経済開放政策は、1年を経た今、11月のオバマ米大統領の来訪などを受け、さらに加速の一途をたどっている。


 わが国も500億円の円借款を決め、この1年で日本企業の進出も約100社にのぼり、

2015年のミャンマーの総選挙や証券市場のオープン時には、1千社を超す日系企業がこの地に根をおろすと予測されている。

 

 

 こうした状況を受け、政府部内はむろん、海外からの進出企業にとっての最大の関心事と懸念はやはりインフラの整備に尽きる。ことに、電力不足はまだまだ解消されてはおらず、日本の大手商社が主導的な役割を果たす新しい経済特別区「ティラワ経済特区」などの大型開発に当たり、生命線とも言われる電力の安定的供給への体制づくりも重要課題として位置づけられている。


 そうしたミャンマーのインフラ整備を杞憂し、少しでもお役に立てることはないか、という趣旨に賛同し、一般社団法人「日本技術者連盟」(JEF)が主催、当協会が協賛の形で、去る12月2日から6日まで、日本の電力関係者17名がミャンマーを訪れた。


 ネピドーでは電力省副大臣や電力公社首脳と約3時間にも及ぶ忌憚のない討議を重ね、最大都市ヤンゴンでは、主力発電所のアローンや将来「ティラワ経済特区」の主要電力供給所となるタケータ発電所などを視察。やはり日本の電力専門家だけあって、今後の問題点もすぐに指摘され、改善の提案がなされた。

 

 さらに、日本大使館ではミャンマーのインフラプロジェクトの専門官で経済協力担当の松尾秀明参事官を交えて、この国の電力整備に日本は何をすべきか、などのアドバイスをいただき、今回のミッションに参加した企業とミャンマー側の関係省庁、担当官などで構成される「日本電力プロジェクト開発協力委員会」(仮称:Japan and Myanmar Electric Power Development Commitee)を立ち上げ、継続的にミャンマーの電力事業をバックアップしていくことで合意。在ミャンマー日本大使館からもご協力をいただく支援のお言葉を頂戴した。


今回の「第1回ミャンマー電力事業視察ツアー」調査団は、元関西電力副社長で日本原子力発電(株)元社長の鷲見禎彦(すみよしひこ)氏を団長に、以下の方々が参加された。


前田耕一  (中国電力株式会社 事業開発 部長

周藤浩司  (中電技術コンサルティング株式会社 事業企画部部長 工学博士)

岡 延夫  (日本鉄塔工業株式会社 取締役技術部長 工学博士)

鈴木淳一  (古河電工パワーシステムズ株式会社 開発営業本部 海外事業推進部長)

田中悠佳夫 (株式会社ニュージェック常務取締役 国際事業本部長)

山下光明  (株式会社エネゲート 制御機器事業部 事業部長代理)

永井和弘  (株式会社ダイヘン 変圧器グループ長)

風尾幸彦  (株式会社東芝 電力システム社技術長)

山脇広治  (株式会社日立製作所 国際電力営業本部 シニアエキスパート)

石井國義  (株式会社 東和 代表取締役)

古金谷正伸 (住友電気工業株式会社)

岩崎行洋  (三菱商事株式会社 ヤンゴン駐在事務所 副所長)

岡山典弘  (株式会社荏原製作所 風水力機械カンパニー海外事業統括 副統括部長)

和島英貴  (株式会社ハイデックス和島 代表取締役)

齋藤 衛  (アネックスリサーチ株式会社 代表取締役)

井戸田勲  (一般社団法人日本技術者連盟 専務理事)


一方、ミャンマー側の出席者は

アウン タン ウー氏  (電力省 連邦副大臣)

ミィン ゾー 氏    (電力省 連邦副大臣)

キイ- ソー氏     (水力計画局 局長)

モー タ- タウェ氏  (水力実行局 局長)

キン マウン ウイン氏 (水力発電公社 総裁)

トン ナイン博士    (電力公社 総裁)

ミイン アウン氏    (配電公社 総裁)

カイ ゾー 氏     (電力局 事務局長)

以下、総勢13人のミャンマー電力関係の幹部の方々が討議に参加された。

 

 討議の大きなテーマは、ミャンマーのインフラの要となる電力整備をどうしていくのか、あるいはどのようなマスタープランを計画中か、また、これに対して日本サイドがどのような協力、支援が出来るか、などの点を中心に進められた。


 双方、忌憚のない卒直な意見がだされ、結論的には現在約7割を占める水力発電から脱却し、火力発電などの安定的電力供給を充実させていく。むろん、日本が出来る限りの支援をしていく、という方向でまとまった。

 

 今回の電力視察ツアーは、これまでの儀礼的なミッションとは異なり、日本の電力関係の技術者や責任者たちが結集したものだけに、非常に有意義なものになったといっていい。

このため、これが一過性のもの終わることなく、前記したコミッティーの創設で、継続的にミャンマーの電力事業に協力、支援していくことが重要との認識で一致した。

 

                                       専務理事 栗原