ミャンマーで日本車に今、逆風が吹き始めています。

今、日本をはじめ、各国の大企業が、急激な経済成長の真っただ中にあるミャンマーに、熱い視線を注いでいます。

ミャンマーで、日本が圧倒的なシェアを誇ってきたのが自動車。しかし、その日本車に今、逆風が吹き始めています。

 

ミャンマー最大の都市・ヤンゴンの道路を埋め尽くす自動車。

経済開放が進むにつれて、マイカー需要が高まり、国内の乗用車登録台数は、この2年で1.5倍となる、およそ40万台に急増した。

その車を見ると、日本車が大人気となっている。

故障が少ないなどの理由から、ミャンマーを走る車のおよそ9割が、中古の日本車。

 

しかし、車の普及にともない、ある問題が深刻化している。

タクシードライバーは「ヤンゴンで運転するのは、とても難しいし、危ないです。交通ルールなんて、まるでありません」と話した。

車の急増で交通事故が増え、2013年は過去最悪のおよそ1万4,000件を記録した。

 

その背景には、交通事情があった。

ミャンマーを走る車のほとんどは、日本と同じく右ハンドル。

しかし、車が走る道路も右側になっていて、ちぐはぐな状況が続いている。

このちぐはぐな状況を受け、ミャンマー政府は、日本の自動車メーカーに対応を迫る、ある決定を下した。

 

国内で走る9割の車が、中古の日本車というミャンマー。

しかし、日本車にとってピンチが。

右ハンドルで左折すると、左側が見えづらい状況になる。

日本では、車は左側通行で、右ハンドル。

対向車線寄りに、運転席がある。

 

それに対し、ミャンマーでは、右側通行を採用している。

この場合、左ハンドルであれば、左折の際の視界が広く確保されるが、中古の日本車は、右ハンドルのため、左折の際の視界が狭くなる危険があるという。

そこで、ミャンマー政府は、2014年式の車から、右ハンドルの新車の輸入を禁止した。

 

これを受け、これまで右ハンドルの日本の中古車が売れ筋だった地元の販売店では、左ハンドルの新車に人気がシフトしている。

サクラトレードセンターのテイ・アン社長は「これも新車、左ハンドル。ミャンマー人は『右ハンドルいらない』という感じ。あと1~2年で、中古車輸入は終わりだと思う。ほかの仕事探す」と話した。

 

一方、日本の自動車メーカーは対応に乗り出している。

日本の自動車メーカーが、ミャンマーで作っているトラック。

ミャンマーの道路事情に合わせて、ハンドルは、左側に作られている。

2014年3月、ヤンゴンにショールームを開設したトヨタは、海外向けに生産している左ハンドル車をミャンマー市場に投入した。

 

トヨタモーターセールス&マーケティングの横山 準さんは「ミャンマーは、これからも発展が期待されていて、当社としても最も期待している国の1つ。われわれも左ハンドルの車をミャンマーのために準備できるような態勢をつくっていきたい」と話した。

 

急成長するミャンマー市場を舞台とした自動車戦争。

その戦いでは、韓国製をはじめとするライバルが。

勝ち抜くためには、日本としての新たな戦略が求められている。

 

25日にミャンマーに赴任する樋口建史ミャンマー大使の解説です。

 

(ミャンマーでは、これまで優位だった日本の車だが、今後はライバルとのシェア争いも厳しくなりそうだが?)

新しいモデルについては、左ハンドルでなければ輸入ができないという通達が出たと、承知していますけれども、今も、中古車については、日本の中古車が、非常に評価が高いという状況のようですね。

 

ですから、当面の問題にはならないかもしれませんが、近い将来的には、日本のそういった企業が不利益にならないような取り組みを、今後の情勢・動向を見守りながら、対応してまいりたいと思います。

 

(外国企業とのシェア争いというのは自動車業界だけではない。最近では、ミャンマーの国際入札となった大型案件、マンダレーの空港は、日本の企業が手がけることがほぼ決まっているが、別の空港では、中国などの企業連合に敗れたり、さらに優位とされていた携帯電話の新規参入事業でも、カタール、そしてノルウェーの企業に敗れている。安倍首相自らが、トップセールした直後の連敗ということだったが、参入の壁は高いのか?)。

 

やはり国際入札につきましては、大変厳しい状況にあると思います。

この点については、総理も外務大臣も機会をとらえて、この当面性の確保について、求めているところでもございます。

 

それから、やはり個別の案件につきましても、官民が連携して、対応するといったことが、重要だと思います。

それから、もっとベーシックなこととしては、日本の優れた高い技術でありますとか、それから、信頼性の高さ、そういったことを、広く認識していただけるような、そういう取り組みを進めてまいりたいと。

 

(ミャンマーへの外国からの投資を表した表を見ると、1位が中国、2位がタイだが、日本は10位。国別のシェアも0.67%しかない。逆襲のシナリオは?)

逆襲というのは、適当かどうかということですけども、まだ、2011年3月に民政にしまして、スタートしたばかりですから。

 

これからだと思うんですけども。

やはり、日本の各分野の企業が進出し、投資をするためには、環境整備といいますか。

 

最大のインフラは、法令整備だと思いますけど、電力であるとか水であるとか、交通整備とか、そういったインフラ整備の支援を進めていく中で、この投資も拡大していくんじゃないかと期待しております。

 

(日本からの投資もそうだが、日本としての支援というのもある。それが本当にミャンマーをちゃんとした民主化の方向に持っていけるように使ってもらえるのかどうか。そこらへんを担保するのは難しいと思うが?)

おっしゃる通りだと思います。

 

日本政府としてのミャンマーに対する支援というのは、3つの柱がございまして、1つは民主化支援。

経済改革の支援。

国民和解の支援。

そういう非常に幅広い、安定した信頼関係の中で、支援を進めていくことだと思っています。

 

FNN 4月24日