ミャンマー・エヤワディ管区首相インタビュー

 ■深海港開発で貿易拠点目指す

 

 ミャンマーのテイン・セイン大統領の出身地エヤワディ管区(region)は、同国中西部に位置し、エヤワディデルタを抱えるミャンマーのコメどころだ。4月下旬に来日した同管区のテイン・アウン管区首相(66)は、本紙とのインタビューで、同管区は今後、深海港の建設をはじめとするインフラ整備を進め、ミャンマーの輸出拠点を目指す計画を明らかにした。さらに農業開発だけでなく、ビーチリゾートなど観光資源の活用にも力を入れる考えも示した。

 

 ◆最初は農業開発

 

 ミャンマーは7つの管区と7つの自治州からなる連邦国家で、中西部に位置するエヤワディ管区は東部がヤンゴン管区、北東部がバゴー管区と隣接する。北はラカイン州と接し、西にベンガル湾を望む。ミャンマーを南北に貫くエヤワディ川(旧イラワジ川)河口に広がる肥沃(ひよく)な土地だけに、コメだけでなく他の農作物も豊富。さらに魚介類などの水産物も豊富だ。

 

 ただ、常に洪水被害に見舞われ、軍政時代の2008年5月にはサイクロン・ナルギスの襲来で、数万人が犠牲になったこともある。このため、新政権になってからは、エヤワディ管区の開発に一段と力を入れてきた。

 

 テイン・アウン管区首相は4月22日から6日間の日程で初めて訪日した。インタビューで同首相は「今のエヤワディ管区は農民が7割だ。このため、最初は農業開発で生活レベルを上げ、次のステップとして工業を手がけたいと考えている」と述べ、農業を中心とした開発をまず進めていく姿勢を示した。

 

 滞在中、テイン・アウン首相は、麻生太郎副総理兼財務相、菅義偉官房長官、林芳正農水相らと会談したほか、国際協力機構(JICA)、日本貿易振興機構(ジェトロ)なども訪問した。

 

 

日本への期待について首相は「農業分野、水産業分野で協力してほしい。もう一つは地方開発、人材育成に関してだ。今のミャンマーの農業向上には日本の支援が必要だ。(ミャンマーは)技術が不足しているので、生産量が低い。日本の半分だ。日本の技術提供と支援で農業技術が高まれば、住民の生活レベルも上がると思っている」と語った。

 

 ◆ビーチリゾートも

 

 首相はまた、「エヤワディ管区はベンガル湾に面し、深海港を作るのに適している。エヤワディの作物をその港から国外、欧州やアジアにも直接、輸出できる。ヤンゴンやマンダレーには深海港がないから、そういうチャンスはない」と指摘。外国との貿易拠点としての発展を目指す考えを強調した。

 

 そのうえで首相は「以前の政府(軍政)は、ヤンゴンやマンダレーの開発に重点を置いてきたが、エヤワディに港や工業団地ができたら、ミャンマーの新しい経済地域になるだろう」と語り、開発の進展に自信をにじませた。

 

 さらに「管区内にはチャウンター、グエサウンのふたつのビーチがあるが、いずれもベンガル湾に面した美しいビーチで、ビーチリゾート開発などいろいろな計画がある。深海港建設と同時に進めていきたい」と語った。

 

 同首相によると、深海港建設についてはすでに、日本の大手商社とエヤワディの地元企業が組んで、具体的な計画づくりに着手したという。

 

 今回の初訪日について、テイン・アウン首相は「来る前は心配もあったが、これほど多くの人と会い、歓迎されるとは思わなかった」と語り、日本のミャンマーへの関心の高さに驚いた様子。一方で首相は「いろいろな人が協力しますと言ってくれたが、実現の可能性はあるのだろうか。あなたの意見を聞きたい」と逆に質問する場面も。これには個人的な意見として「日本は時間がかかっても約束したことは必ずやる。安心してほしい」と答えておいた。

 

 

ミャンマー側にこうした不安を抱かせないためには、日本が支援を急ぐ必要はある。ただ、それと同時にミャンマー側にも国の発展には、国民一人一人の努力が欠かせないということを忘れないでもらいたい。

 

Sankei Biz 5月1日