中国、ミャンマーの外交に揺さぶり

ミャンマーは、初めて主催国となった週末の東南アジア諸国連合(ASEAN)外相会議が軍事政権後の同国の発展を祝う場となることに期待していた。

 

 しかし、首都ネピドーで開催する会議は、外交面で重大な試練に直面するものとなり、中国とベトナムは領有権争いが続く南シナ海の石油リグをめぐって互いに一歩も譲らない構えだ。

 

 シンガポールの東南アジア研究所の中国・東南アジア安全保障問題専門家、イアン・ストーリー氏は「ミャンマーはかなり困難な立場に置かれている」と述べた。ミャンマーは、共同体の現在の議長国として「ASEAN内の結束の維持」に務めるため、不当行為について、特にベトナム、フィリピンに中国への断固たる措置を呼びかける機会を与えなくてはならない。一方、同国に「北京の怒りを買う余地は全くない」と同氏は付け加えた。

 

 外相会議はまた、アジアの一部同盟国のように南シナ海の領有権争いに直接かかわっていないミャンマーにとっても、対中関係で重大な局面にある中で行われている。2011年に軍事政権から民主化へと大きく転換して以来、ミャンマーは外交関係の多角化に動き、以前から最も親密だった中国のほかに米国や米国など西側諸国をも受け入れるようになった。

 

 関係の変化を象徴したのが11年のテイン・セイン大統領による北部カチン州の「ミッソンダム」の開発を中止する決断で、政府は環境面の懸念を理由にあげていた。総事業費36億ドルの水力発電ダムは中国の雲南省に21ギガワットもの電力を供給する計画の一環であったため、中止の決断は中国との関係悪化につながったと見るアナリストもいる。

 

 一方、日本とミャンマーの両国政府は前例のない規模で経済関係を築いており、日本からの投資は、特にヤンゴンから45分の場所にあるティラワ特別経済区において目立つものがある。日本からミャンマーへの投資は12年末から13年にかけて10倍強増加した。

 

 中国は、対照的に、同国への海外投資を大幅に縮小した。13年4月期の中国の対ミャンマー新規投資は前年度の43億ドルの約10分の1にとどまった。13年4月から今年1月にかけての中国のミャンマーでの投資はわずか4600万ドルだった。

 

 それでも、ミャンマーにとって中国は海外直接投資、貿易の面で最も重要な相手だ。

 

 前出のストーリー氏は、中国政府は「ネピドーを罰するために政府に反発する少数民族の民兵組織に兵器を供給する」可能性がある、とミャンマーがASEAN議長国を務める際に反中論調が強まった場合について述べた。また、中国が「経済支援や投資を控える」ことも考えられるという。

 

 ミャンマーのYe Htut大統領報道官は10日、ASEAN加盟国の南シナ海紛争をめぐる中国に対する圧力は「個別の二国間関係」によるものだと述べた。しかし、ミャンマーにとって中国は「大きな友人」かつ「最も重要な貿易相手」だと同氏は付け加えた。

 

「中国はその平和的な台頭が自国のみならずASEAN地域の発展と平和、安定性にとっても非常に重要だと理解している」。

 

 米スティムソン・センターのミャンマー中国関係専門家、ユン・スン氏は、ミャンマーはこうした紛争について中立的な立場を取る公算が大きいと見ている。「ミャンマーは今年、南シナ海問題によって波風が立たないようにする決意を示してきた」という。

 

 ミャンマーは「次のカンボジアにならないよう非公式に誓った」と12年のASEAN議長国が領有権紛争をめぐり中国政府の立場を支持したことに言及した同氏は、一方で「進行役としてASEANが反中国の場にならない」ことにも務めていると述べた。

 

ウォールストリートジャーナル 5月12日