学食から支援の輪を ミャンマー難民2世、食と文化紹介

難民問題を若者に知ってもらおうと、難民が多いとされる国・地域の郷土料理を大学の学生食堂で提供する取り組みを続けている。中心となっているのはミャンマーからの難民2世。今年からは売り上げの一部を支援活動に充てる仕組みも導入。20日の「世界難民の日」の前後、東京などの4大学で振る舞われる。

 

6月上旬、東京都三鷹市にある国際基督教大の学生食堂。メニューの中に見慣れない料理名が次々と登場した。

 

豆を香辛料で味付けしたネパール料理「ひよこ豆のカレー」のほか、スリランカのカレー、ウガンダの魚料理など。3カ国の料理を週替わりで提供し、1食あたり20円が難民支援団体に寄付される。スリランカ料理を食べた2年の河野果苗さん(19)は「ささやかだが支援できてうれしい」と満足そうだった。

 

料理の提供を大学側と交渉した学生団体は「Meal for Refugees(難民のための食事)」。メンバーで同大3年の山口芽衣さん(20)は「大学で難民が話題に上ることは少ない。少しでも関心が高まれば」と話す。

 

立命館大や明治大、関西学院大の学食でも6月、トルコやミャンマー、パキスタンなどの料理を提供する計画。料理とともに、日本での難民が置かれた現状などを紹介するパンフも置く。

 

団体の中心は関西学院大3年でミャンマー難民2世のテュアン・シャン・カイさん(20)。両親は1991年、軍事政権下のビルマ(当時)で弾圧を受けて日本に逃れ、難民と認定された。

 

「大学進学の道も開け、日本に感謝している」と話すテュアンさん。しかし同級生に難民2世であることを明かすと、「日本に難民がいるのか?」「ネットカフェ難民のこと?」と聞き返されたことも。日本在住の難民によるレシピ本が出版されたことなどから、身近な食から文化に触れてもらって難民問題を知る入り口にしたい、と考えた。

 

昨年2月に団体を立ち上げると口コミで伝わり、メンバーは10大学約50人にまで広がった。学食のほか、秋に開かれる学校祭で販売する計画もある。

 

国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、政府から迫害を受けたり、内戦が激化したりして海外に逃れる難民・避難民の総数は2012年末時点で推定4520万人で、1994年以来最多。一方で日本では関心が低く、認定者も少ない。

 

テュアンさんは「難民が身近にいることや難民認定の厳しさを多くの人に伝えることで支援の和が草の根で広がってほしい」と願っている。

 

日本経済新聞 6月20日