ミャンマー、改憲で与野党対立 スー・チー氏大統領選出馬巡り

ミャンマーで憲法改正を巡る与野党対立が激しくなっている。最大野党国民民主連盟(NLD)がアウン・サン・スー・チー党首の大統領選出馬を阻む規定の改正を求めて300万人超の署名を集める一方、与党が主体の国会の特別委員会はこのほど同規定の改正を認めないことを決めた。2015年の大統領選挙を前に政治的な混乱が強まる懸念もある。

 

「“我々の母”のため署名を行おう」。NLD本部(ヤンゴン市)には改憲を求める署名を募るスペースが設置され支持者が連日、列をつくっている。

 

NLDは5月下旬、全国で署名キャンペーンを始めた。これまでに人口の5%に当たる330万人分の署名を集めた。キャンペーンは19日まで続き、署名は国会に提出。国会論戦につなげたい考えだ。

 

08年、当時の軍事政権が制定した現行憲法は国会議席の25%を軍人に割り当てるなど全体的に非民主的な内容だ。NLDが特に問題視するのが大統領資格要件を定めた59条で、外国籍の親族のいる者の大統領選出馬を認めない。外国の影響から主権を守る趣旨とされる。亡夫が英国人で英国籍の息子のいるスー・チー氏を排除するため盛り込まれたとNLDは主張し、改廃を求めてきた。

 

NLDの攻勢が強まるなか、テイン・セイン大統領も今年1月、演説で改憲を容認する姿勢を示したため、野党側の期待は高まった。

 

この状況に冷水を浴びせたのが6月中旬の国会の特別委員会の動きだ。大統領資格要件の規定を改正の論点に含めないことを決めた。

 

決定に法的拘束力はないが改憲には75%超の国会議員の賛成が必要。国会議席の8割を占める与党議員と軍人議員が59条改正に賛成する見込みは低く、スー・チー氏の大統領選出馬も遠のいた。

 

NLD側はスー・チー氏に同情的な欧米から政府への圧力を期待する。特別委員会の決定後、米国は改憲を支持する姿勢を表明したが、ミャンマー政府高官が内政干渉と批判した。

 

15年後半に予定される総選挙と大統領選挙まで残された時間はわずか。追い詰められたNLDが前回10年の総選挙のようにボイコットなどの強硬手段に訴えれば、政治情勢は一気に不安定化しかねない。

 

日本経済新聞 7月3日