ケリー長官が滞在したミャンマーのホテル、オーナーは米国の制裁対象

ケリー国務長官ら米国の代表団が先週末の東南アジア諸国連合(ASEAN)外相会議に出席するためミャンマーを訪れた際、滞在先が米国の制裁リストに載っている実業家が保有するホテルだったことが明らかになった。米国による制裁が残る国で活動することの難しさが顕在化した形だ。

 

ケリー氏らは9日夜、ネピドーの「レイク・ガーデン」ホテルに投宿。このホテルは、フランスを拠点とするアコーホテルズが経営しているが、「マックス・ミャンマー」グループが建築および保有している。米財務省のウェブサイトによると、マックス・ミャンマーと、会長でオーナーのミャンマー人実業家ザウ・ザウ氏は、旧軍事政権とのつながりを理由に制裁対象となる人物や企業を示す特定国籍業者リスト(SDNリスト)に載っている。このリストに掲載されれば、米国内の資産が凍結され、米企業との取引が禁じられる。

 

国務省はコメント要請に応じなかった。もっとも、今回の滞在は制裁破りには該当しない。政府印刷局のウェブサイトに掲載された制裁規則によると、私用、商用、公務を問わず、米国人の旅行に関連した取引は免除されるという。

 

制裁リストには、2011年に文民政府が誕生するまで60年近くの間ミャンマーを支配してきた軍人に関連するとされる企業や個人が200ほどリストアップされている。

 

豪マッコーリー大学のミャンマー経済専門家は今回のホテル選択について、「ミャンマーでSDNリストに載っている人を排除して仕事をすることの難しさを浮き彫りにしている」と述べた。「富と経済活動が、旧政権に関連したごく少数の手に握られている」という。

 

米政府は12年にミャンマーに対する制裁解除に着手したが、制裁リストは残っている。ケリー氏は10日、レイク・ガーデンの一角に集まった記者団に対し、制裁リストはミャンマーの新政権による民主化プロセスに米政府が完全には満足していない証拠だと述べた。

 

ミャンマーは近年、多国籍企業にとって急成長するフロンティアとなっているが、米企業の間では、制裁リストが同国での事業の足かせになっているとの声も聞かれる。ミャンマー最大級の複合企業や最も優秀なビジネスマンたちとの提携が阻まれるとの指摘もある。ザウ・ザウ氏など制裁リスト中の実業家の多くは、銀行からインフラ事業まで全ての分野に関わりを持っている。

 

ウォールストリートジャーナル 8月13日